2013年9月12日木曜日

昔の話 最終話2 (葬儀屋) 涙と反抗

昔の話   最終話2     (葬儀屋)           涙と反抗


12日目の昼


社長と自分は監察医施設から車で火葬場に向かいました
車を駐車場に停め
社長と自分は車から降りて社長が建物に入り
ストレッチャーの上に棺桶を積んで戻ってきました
棺桶に遺体を入れて焼却炉まで運びました
焼却炉の前に一人の黒い服を着た20代ぐらいの女性が立っていました
こちらに気づき頭を下げ
社長も頭下げながら
「この度はわざわざ起こし下さいましてありがとうございます」
女性
「いいえ、こちらこそ兄の事、ありがとうございました」
     この女性は遺体の妹さんみたいでした
社長
「こちらがお兄さんです、最後にお顔だけでも」と
   言いながら棺桶の窓を開けました
妹さんは顔覗き涙を堪えながら見てました
そして社長を見て
「すみません葬式が出来なくて、親戚がいなくって私と兄
     二人だけなんです、兄は都会で一発当てて来るといい
     田舎を出ました、なのに.......」
そのあと声が出て来ませんでした
社長は妹さんを見て
「それではお兄さんを天国にいかせます 、  よろしいですか?」
妹さんは声に出さず頷き
社長は職員の人を呼んで焼却炉の中に棺桶を入れ
職員の人が
「それでは、行います」と言いスイッチを押しました
凄い炎の音が聞こえて来て
社長、自分、妹さんは手を合わせました
社長が妹さんに
「あちらに休憩室がございます、こちらへどうぞ」と
言いましたが妹さんは
「いいえ、ここで終わるまで、いますんで気にしないでください」
社長は
「わかりました、自分達はあちらにいますんで、何かあったら
読んで下さい」と言いました
焼却炉の前に長い廊下があり、その先に休憩室がありました
自分と社長は妹さんに礼をして
廊下を歩いて行くと途中に喫煙所があり
社長が「吸ってくぞ」と言いタバコを吸い始めました
自分もタバコを出して
口に加えて
ふと、妹さんの方を見ました
妹さんは頭を下に向け、肩が震えていて「う、う、」と聞こえてきました
泣く声を我慢していたと思います
自分はタバコをしまいました
何かしてあげたい気持ちが込みあがり
妹さんに行こうとした瞬間、社長に腕を掴まれました
「お前が行って何になる、下手な同情は辞めろ」と
真剣な顔で行って来ました
自分は腕を払いました、最初で最後の反抗です
もうあの時は我慢の限界でした
社長に睨みつけ妹さんの方へ行きました
隣に立ち妹さんの顔を見ると、くしゃくしゃの顔に唇を中で噛んでいて
涙を流して手に持ったハンカチはビショビショでした
自分のハンカチを渡し
「声に出した方がいいですよ」と言った瞬間
妹さんはしゃがみ込んで大声で泣き出しました
自分はただ黙って隣にいるしか出来ませんでした
ブザーが鳴り職員が来て扉を開けました
中には少しの骨と灰しかありませんでした
社長が骨壷と長い箸を持って来て
「妹さんと一緒に入れて上げなさい」と言われ
妹さんと一緒に骨壷に骨を入れました
社長が怒ってるんじゃないかと顔を見ましたが
何故か怒っていませんでした
その後、妹さんを駅まで送り妹さんは帰って行きました
社長は時計を見て
「もうこんな時間だ、お昼まだだろう、お昼驕ってやるよ
近くに行きつけの所あるから」と言い
社長について行きました
社長が驕るなんて珍しいと思いながら歩いていると
ある店の前で止まりました
(ステーキハウス)と書いた店です
それを見た瞬間、胃が痛み始めました
午前中に起きた出来事が頭に蘇ったんです
社長と自分は店に入り、席に座ったると
社長がニコニコしながら
「ここの(肉)は美味いぞ、俺のオススメあるからそれにしろ」と言い
自分の意見も聞かずに注文しました
出て来たのは特大のレアのステーキです
社長は嬉しそうに肉汁と血が出るステーキを切り
口に入れました
自分はそれを見た瞬間、顔が青くなりどうしても
フォークとナイフを持てませんでした
社長が「どうした?食べないのか美味いぞ」と言い
自分の顔を見てました
凄い威圧感でした、
その時気づいたんです、自分は今、試されてると
綺麗事をやったお前にこれを食べる根性があるのかと
この時敗北感を感じました自分の負けでした
やっと辞める決意が出来ました
自分は社長に
「すみません社長、これ以上この仕事を続けられません
本当にすみません」と言いました
社長はこの事を分かっていたらしく
内ポケットから封筒出して
「2週間分の給料だ」と言い自分に差し出しました
自分はそれを受け取ろうと封筒を取った瞬間
社長は自分の腕を掴んで
「人間はな死んだら物になるんだあれは人間じゃない」言いました
自分は社長が掴んだ手を払いのけることは出来ませんでした
社長が自分の掴んで手を離し
自分は逃げるように店を出ました
それが社長との最後でした

それから3日ぐらい何もする気になれず
家に閉じこもっていました
でも4日目朝、このままでは、いけないと思い
外に出て公衆電話に行き葬儀屋に電話しました
奥さんが出て「はい、葬儀屋ですけど、」
自分は「葬式をお願いしたいんですけど」
奥さん「わかりました社長に変わりますね」
社長「はい、変わりました、ありがと........」
自分「バーーーカ」ガチャ
電話を切り
自分の中のモヤモヤを断ち切り
その足でハローワークに向かいました


お終い

昔の話 最終話1 (葬儀屋)検視と内臓

昔の話    最終話1      (葬儀屋)     検視と内臓


12日目の朝


自分は会社の前で立っていました
今日、社長に辞める事を言うか、それとも言わないか
迷って中に入れませんでした
せっかく就職出来たのに辞めて、また一から就職をしなおすのは
大変です、社長に負けて逃げる感じになるのも嫌でした
その事が昨日決めた決心にブレーキをかけていました
まだ決心が鈍ってるから
取り敢えず今日は言うのを辞めようと心に言い聞かせ扉を開けると
奥さんしかいませんでした
自分は
「おはようございます。社長は何処ですか?」と聞くと
奥さんが
「おはよう。もう裏で待ってるわよ」と言われて
急いで裏に行くと社長が黒いワンボックスの運転席に座って
待っていました
急いで助手席に座り
「おはようございます」と挨拶をすると
社長が笑いながら
「おはよ、今日は貴重な体験が出来るぞ、楽しみにしておけ」と言い
走り出し
後ろを見ると
遺体が積んでありました
自分はまたか、これ以上何があるんだと思いながらも
何があるかは聞けませんでした
走ること一時間くらいして倉庫街に着き
四角い建物が見えて来ました
◯◯◯監察医施設と言う看板が見え
その敷地内に入り、中には警察関係の車が数台見えました
駐車場に車を停め自分と社長が降りて
「待ってろ」と言われ
社長は施設の中にはいって行きました
そうか社長の言って事は今から検視が見られる事を
言ってたのかと思い待っていると
社長がストレッチャーを押して戻ってきました
自分と社長は遺体を乗せ施設の中に入りました
長い廊下があり横の壁は腰から上がガラス張りになっていて
中が見えました
少し狭い灰色の体育館みたいになっていて
窓は3mぐらいの高さにしかなく全体的に暗い感じでした
扉がある所に行くと横に半透明の手袋とマスクが置いてあり
社長が
「これをつけろ」と言ったので身に付けて
扉を開けると白衣を着た人が二人待っていました
監察医です
監察医は
「その遺体この台に乗せて白い布のとって」と言われ
鉄の細いベットの台に乗せて
白い布を取りました
そしたら見覚えのある顔が出て来ました
最初に出会った男の遺体です
自分と社長は白い布を取り後ろに下がろうとしたら
社長が背中を押して
「これからお前は監察医のお手伝いをするんだ
神奈川県の葬儀屋は皆そうしてる他の県知らないけどな」と言われました
自分は遺体の真横に着き
監察医が
「今日始めて、大丈夫、ただ持ってもらうだけだら、気持ち悪くなったら言って」と言われ
自分は
「はい」としか言えませんでした
監察医がメスを取り出し胸の所からお腹の所まで一直線に切り
次に鎖骨の下の辺りも一直線に切り丁度Tみたいな切り方になり
胃の辺りから両手を入れ思いっきり開きました
ベリベリと音がして肋骨向き出しになり他の内臓も見えました
監察医が内臓に手を入れ胃を取り出し目視したあと
自分に渡し
「そこの計り機で計って何gか教えて」と言ってきました
一瞬もどす物を感じましたが、迷惑かけちゃいけないと思い
喉の所まで来た物を呑み込んで
計りで重さを言い、計った内臓は鉄のお盆に並べました
次から次えと内臓を渡され計って行きました
たんたんとした作業でした
内臓が半分ぐらい無くなった所で監察医が「心不全だな」と言い
自分を見て
「お盆に入った内臓ちゅうだい」と言われたので
お盆を渡したら適当に流すように内臓を入れました
内臓を押し込めて開いた皮を戻し糸で適当に縫い込んで
監察医が
「はい、お終い」と言い
二人の監察医は
「あと何体あるんだよ面倒くせーな」と
笑いながら帰って行きました
遺体に一回も手を合わす事なく
自分と社長は血で汚れた遺体を洗いながら
人は遺体に慣れるとこんなにも遺体に対して冷たくなるものかと
思いながら遺体を綺麗にして
今度は白い布じゃなく白い浴衣を着せて
遺体を車に積み込みました 
社長がタバコを出し火をつけ
「どうだ、普通じゃ経験出来ない事をやったんだぞ、人の内臓を
持つなんて滅多に出来ないぞ」と
社長が手で持つ仕草をして自分の方を笑いながら見てました
自分はまた胃から戻るの感じ必死に堪えて
「はい」としか返事が出来ませんでした
社長が吸い終わり
車に乗り自分が「会社に帰りますか?」と聞くと
社長が「いや、火葬場に行け、この死体燃やすぞ」......続く

2013年9月9日月曜日

昔の話 5話 (葬儀屋) 死体と火葬場


11日目の朝

葬儀屋に就職してから少しは慣れてきました
社長に朝の挨拶をしてからプレハブに行き
椅子に座り小説と珈琲用意してくつろいぎながら時間が来るまで
ただ待ってるだけ
よく考えたら何もない日はただプレハブで待機してる
だけで給料が貰える美味し仕事だと気づいてしまい気が緩んでいました
小説を読みながら珈琲を一口飲もうとした時
ドアを壊れるぐらいの乱暴な開け方で社長がドアを開け
眉間にシワを寄せ恐い顔だけ出し
「すぐに車に乗れ、出るぞ」と言い
自分は慌てて珈琲を置き外に出ました
外に出ると社長からカギ渡され「黒いワンボックスで行く
仏さんが出たみたいだ」と言い社長は助手席に乗り
自分は運転席に乗り込んだ時
後ろ席に奥さんが乗っているのが見えました
奥さんが軽く笑いながら「今日はちょと特殊だから私も同行します。よろしくね」と言い軽く頭を下げ
自分も軽く頭を下げながら(特殊?)て、何だと思いながら
車のドアを閉め嫌な予感を感じながら走り出しました
社長に道を案内されなが走る車の中は空気が澱んでいました
何が特殊なのか聞ける空気じゃなく
30分ぐらい走らせてると繁華街に着きました
繁華街に入り10階建てのビルの裏に廻り車を停めました
表の繁華街は人々が大勢行き来してのに
裏の方は人っ子一人いませんでした
社長と自分と奥さんが車から降りて白い布を出し
車の後ろ開けて準備していると
ビルの中から
黒い服を着た2人組がこちらに来ました
黒服が「お待ちしてました。此方へどうぞ」と言い
ビルの中に案内されました
ビルに入り直ぐにエレベーターに乗り7階まで上がり
エレベーターから出ると
そこは玄関になっており、靴を脱いで
目の前に扉があり黒服が開けると
そこは豪華の部屋になっており中に7〜8人の男がいました
それを見て気づきました
ここはヤクザの部屋だと
見なりや顔立ちや髪型が少し前のヤクザの姿でこちら睨みつけて
いました
生きた心地がしませんでした
社長が「すみませんすぐにやりますんで」と言いヤクザの間をとうり
奥の部屋に行くと例の仏さんがいました
50代ぐらいの太めの男性で両肩に刺青が彫ってあり
マッサージチェアーに座って死んでいました
お腹に10㎝ぐらいの刃物で切った後があり
首にも10㎝ぐらいの深く切った後がありました
多分切腹して死のうと思いお腹を切ったが痛さの余り断念して
最後に首を切り出血多量で最後死んだと思います
部屋の廻りは血の後がそこらじゅうにあり
死体の近くには刃物が転がっていました
社長と自分と奥さんは直ぐに白い布を床に引き
死体を動かそうとしましたが
この前の死体と違いかなり重く死後硬直も始まって
おらず
死体を持ち上げるのに3人がかりでやっと持ち上がり
白い布に乗せ巻いて行きました
部屋の中は誰一人として言葉を発せず
ただ自分達のやるのを見ていました
巻くのが終わり社長と自分と奥さんで持ち上げて
車まで運びました
そして社長と自分は黒いワンボックスに乗り
奥さんだけがヤクザの乗るベンツに後ろに乗り
ベンツを先頭に走り出しました
社長が「ベンツのあとをついて行けと」言い
タバコに火を付け急に笑い出しました
「あれ見ろよ、後ろに乗ってるカミさん、ヤクザに挟まれてるぜ
可哀想に」と言いながら自分の肩を叩きました
何て事を言うんだこのオヤジはと思いながらも
このあとどこに行くのか不安でいっぱいでした
一時間ぐらい走り山の中に入って行き
デカイ煙突見えてきました
その煙突の所に走っていくと◯◯◯火葬場という
看板が見えその敷地内に入りました
駐車場に停めると社長が「お前は待っていろ」と言い
社長だけおりて5分ぐらいすると二人の男つれて車輪の付いた
タンカー を持って来て黙ったまま死体を乗せて行ってしまいました
自分は車の中で今までの事を考えていました
死体、金、やくざ、頭の中でグルグル回っていました
このまま自分は耐えられるのか
頭がおかしくなってしまうじゃないかと
そんな事を30分ぐらい考えていたら
窓を叩く音が聞こえて見てみると社長と奥さんがいました
「今日は終わりだ、あとはあいつらに任せてあるから
帰るぞ」と言い車に乗り込み会社に帰りました
会社に着くと3時ぐらいで社長が
「今日はもう帰っていいぞ明日はまた忙しくなるからな」と言われたんで
自分は家に帰りました
家に着き今日の事を落ち着いて考えると引っかかる事がありました
何で火葬場に行ったんだ?
葬式はしないのか?
考えていたらある事が思いつきました
自殺した事の証拠隠滅です
事情は知りませんが自殺の事実を隠さなきゃいけない事があり
火葬場で遺体を燃やして証拠を消したんじゃないかと思い
そう考えた瞬間
体が震えやばいヤバすぎると頭の中でもうダメだと思いました
明日社長に辞める事を言おうと決心しました
最後の日その考えを後押しする
出来事が待っていました......続く

2013年9月8日日曜日

昔の話 4話 (葬儀屋) お金と社長


5日目の朝
昨日の遺体の事が頭から離れず夜も余り寝れなく
寝不足気味で就社しました
社長は朝から上機嫌で笑いながら自分に
「1時間後に普通車で、出るからガソリン入れて準備しとけ」と言われ
カギを渡せれ車にガソリンを入れて来て
車で待機してました
そして一時間丁度に社長が現れ
後ろの席に座るなり、運転席の後ろを蹴り
「気が利かない野郎だな、時間あるなら洗車しとけよ
今から鎌倉へ行け」と言い
自分は心の中で(そんなの聞いてねよクソジジイ)と思いながら
「はい、分かりました」と言い
車を出しました
鎌倉に着き、車を100円パーキングに停めて、
少し歩き個人店の喫茶店の前に来ました
社長が「いいか、お前は喋らなくっていいから、ただ悲痛な顔だけ
してろ」と言い
自分は頷き喫茶店に入りました
そこには40代の夫婦がテーブル席に座っていて
他には客はいませんでした
社長がその夫婦に近付き「この度はご愁傷でした」と言い
頭を下げ、自分も合わせて頭下げ
席に座っていた夫婦も立ち上がり、頭を下げ
旦那さんの方が「どうぞ席に座って下さい」と言い
自分と社長は席に座りました
そして社長は夫婦と喋り始めました
内容は自分が就職する前に、この夫婦のお爺さんの葬式を
行ったらしくその事について話していました
自分は言われたように悲痛な顔で聞いていました
10分ぐらい会話して途切れた所で
奥さんが鞄から厚さ10㎝の封筒出して来て
「本当にありがとうございました、これをどうぞ」と言い
社長に両手で差し出して来ました
社長も両手で受け取り中身を確認し
自分に渡し「数を数えろ」と言ってきたので
中身を見ると一万円札がギッシリ入っていました
ズシと来る重みがあり、今までこんな大金を持つのは初めてで
少しの間眺めていると社長が「何をしてるんだ、早く数えなさい」と
今まで聞いたことのない丁寧な言葉で我に帰り
テーブルの下で数え始めました
社長が少し怒った声で「見えるように数えなさい」と言い
自分は本当に良いのか思いながらテーブルの上に出し
封筒から札束出して数えました
自分に視線が集中してるのがわかり
緊張で手が震え、必死に手の震えを抑えながら
一枚一枚数えました
数え終わり、社長に「250万円ありました」と言い
封筒を社長に渡し社長は内ポケットにしまい
変わりに領収書出して
「確かに受け取りました、これは領収書です
それでは出ましょうか」と言い領収書を夫婦に渡して
喫茶店の前に出て夫婦が「ありがとうございました」と言いながら
頭を下げ歩いて行きました
自分と社長は夫婦を見送り
見えなくなった所で社長が封筒を出し中から2万円出し
自分に渡しました
「これは、こずかいだ取っとけ、葬儀屋は儲かるぞ、人は必ず死ぬ
からな」とニヤついた顔で言ってきました
多分この時自分は社長を睨んで見てたと思います
でも何も言えず黙って金を受け取っていました
社長は睨んでいたことは気にもせず
「俺は用事があるから、お前は先に帰って洗車してろ」と言い
封筒を内ポケットにしまい歩いて行ってしまいました
多分社長はあの金で遊びに行くのでしょう
自分はポケットにしまった2万円を握り潰し
社長の背中見る事しか出来ませんでした

そして何も起こらない、ただプレハブで待機する日が五日間がすぎ
六日目に2体目の死体に会う事になりました
今度の死体は.......自殺者でした....続く